院長首藤 真理子
ごあいさつ
緩和医療、在宅医療は日々進歩しており、病院と同じように質の高い緩和ケアを自宅で受けることができるようになりました。在宅緩和ケアでは、患者さまによって異なる苦痛の訴えに丁寧に対応し、自宅で穏やかに過ごせるように、その方に必要な医療やケアを提供していくことが重要となります。
また、ご家族をサポートすることも大切であり、ご家族の介護負担や不安を軽減できるように、看護師、薬剤師、ケアマネージャー、ヘルパーといった患者さんを支える医療従事者、介護従事者と協力して在宅緩和ケアを行います。
今後、高齢化社会の進行に伴い、在宅医療の役割はさらに大きくなると見込まれます。
緩和医療専門医、在宅医療専門医として、患者さまが住み慣れた地域で過ごせるような社会が構築されるよう尽力したいと思っております。
自宅療養の希望をかなえるために
日本におけるがんの死亡者数ですが、病院での死亡者数が83.3%を占めており、在宅で死亡する患者は増加傾向ではありますが、11%と低い値に留まっています。
しかし、最期の療養場所として在宅が最も多く選択されることが報告されており(厚生労働省意識調査によると、余命が半年以下の痛みを伴う末期状態となった時、59%が自宅での療養を希望)、希望する療養場所と実際の療養場所の相違がみられています。
厚生労働省の推計では、2030年の段階における、わが国の看取り数は年間165万人に達していますが、このうち、医療機関における看取りが89万人、介護施設が9万人、自宅は20万人と推計され、残る47万人は「その他」と記載されていますが、どこで最期を過ごすのか明確にされていません。
このように、今後、日本は多死社会を迎えますが、病院の増床の見込みはなく、自宅で最期を迎える患者さんが増えることが予測されます。
自宅療養を希望する患者さんのために訪問診療、特に在宅緩和ケアを専門とするクリニックを開業しました。
患者さんとご家族が安心して自宅で生活が送れるように、訪問看護ステーションや調剤薬局、また、ケアマネージャーなど介護職の方々と協力して、地域で患者さまを支える仕組みを作っていきたいと思います。